雑感

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チェレンコフ光

居心地の良い実家をわざわざ飛び出して丸6年経った。社会人3年目。仕事をしている。

 

朝7:30のアラームで目が覚める。枕を買い替えてから目覚めがすこぶる悪い。丸太のように転がりながら体を起こす。この気だるさを心地よく思えるようになれたら、朝が好きになれるのに、と思う。

 

トイレに行き、また少し寝る。トイレは安心するし、無になれる。人は下半身を出しているとき、あまりにも無防備だから。この状態で仮に口論しても、勝てる自信がない。

 

2リットルの水が入ったペットボトルを買い、電車に乗り込む。私は今日、このペットボトルを空にするために1日を消費する。なにか一つ、1日の中でゴールを決めておくと達成感を感じれるのでオススメ。水を飲むと、水でふやかして広がるタオルを思い出すのは私だけだろうか。あのシワシワのハンドタオルをほぐしながら広げるのが昔好きだった。

 

仕事はまだまだ上手くいかなくて、でもなんとかやっている。笑うのは好きだから、ニコニコいつもしてる。たまに、えらく泣くことがある。

 

嘘。泣くと言いたかっただけです。でも意味分かんないところで泣きたくなることが増えてる。最近は息を吹きかけた水面。ゆらゆら揺れていて、蛍光灯の明かりがとろっと溶けて揺蕩う姿が愛おしすぎて危なかった。人間がキラキラ光るものを綺麗と思う理由は、「水を探し求めた名残」とどこかで読んだことがある。

 

帰宅。ミスを指摘するのは苦手だけど、なんとか指摘できた。上司になおしてほしいところを吶りながら伝えた。意見の風通しの良さは、職場の良いところだと思う。

人間関係は良好だが、確実にブラックな職業で笑ってしまう。自分はボロボロになるけど、患者さんが喜んでくれるしお礼も言ってくれるからもう全部どうでも良くなる。帰るのが終電でも地獄の底で笑ってやる、と意気込むのは、「さびしい」の裏返しなのだろうか。

 

親愛なる友人の皆さん

たまにはドライブして、近況報告し合おう。サービスエリアの明るすぎるフードコートの中で、缶コーヒーとパンをつまみながら。お互いの冗談でニコニコして、日付が変わる前に寝床につこう。

突然の電話対応も感謝いたします。

自分にあった枕でみんながノンレム睡眠にありつけますやうに。。。

 

p.s.

チェレンコフ光池澤夏樹のスティルライフから。忙しない日々の中でもピントを合わせてそのときを待てば、いくらでも幸福は見つけられる。

ログインできなくなって新しくした

 

久しぶりに9時間ほど飲んで、同僚と「多摩川に朝日を見に行こう、」ってなって自転車で多摩川へ向かった。時刻は朝6時を廻っていて、これから1日が始まる人とすれ違う。自転車の籠にギターをぶっ刺して不安定のままヨロヨロと走るその姿は、自分の年齢をイヤに浮き彫りにする。

 

信号を待ちながら、年上の同僚は笑っていた。

「今なら引き返せるよ」とか言いながら。私が引き返さないことはわかっているような言い方だった。温かいけど意地悪だと思った。選択権を私に委ね、その選択を否定されたことが一度もない。やりたいことが常にあるわけじゃない私にとってはそれが苦痛で、でも素直になることってそういうことなんじゃないかって思ったりもした。素直は何よりも苦しい。

 

私も続いて、ペダルを漕ぎやすい体勢で「引き返そうかなあ」と答えた。自分なりに言い返したつもりだ。信号が青になる。車の列をちぎる感覚がして、心地よかった。

 

 

多摩川についた頃には、東の空がほんのり白っぽくなっていた。日の出に間に合ったのか間に合っていないのか分からないまま、ギターを取り出していた。その日は生まれて初めて外でギターを弾いた。前腕部が膨らんだダウンだとどうしても弦に触れてしまい、音色を響かせるのが難しい。アルペジオを練習しておけば良かった。

 

川の前に座り、水鳥の群れが水面すれすれに飛ぶのを二人で眺めていた。

「鳥たちも嬉しそう、私が勝手に決めた」「勝手だね」

バーテンダーが教えてくれたしゃっくりの止め方にはあんなに否定していたのに、こういうときは否定しないんだ。ああまた苦しくなってきた。

 

朝日が暖かくなってきた頃、河川敷を歩きながら色々話した。

主に、私の過去の話。それだけでサイアクなのだが、「サイテーだよね」「キモイよね」って言いながら嬉しくてたまらない顔だったのは自分でも理解できた。それが自分にとってはサイアクだった。否定はされなかった。寝不足だったし、よくわからなかった。

 

自分はこんなに最低なやつなんだと、貞操観念なんて微塵もないんだと人に伝える瞬間は麻薬のような気持ちよさがあるのかもしれない。ただそのあとは、妙に頭の中でリフレインして「ホントに笑えないやつ」と自分自身が言ってきて、萎んで消えてしまいたくなるだけだ。

 

同僚は私の自虐的な部分を知っていて、「それさえなければ」と言っていた。褒めてほしいだけだよ、分かれよな。自分勝手でごめんね。でも分かれよ。全部裏返しなんだって。頭なでてほしいだけなんだけどな。

 

その後仮眠を取ってアキカウリスマキの新作を見て感想言い合って帰った。変なの。。。